東京高等裁判所 昭和27年(う)898号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(爭點)
原判決の判示によると「……甲方の土蔵から同人及びその家人等の所有の本絹帶上げ外衣類、手袋、縫糸、勳章等合計五十九点を盜み」「……乙方の土蔵から同人及びその家人等の所有の女物紋付小袖外衣類三十点、小豆約四升及び銀貨五枚(一円三十銭分)等を盜み」と記載されており、控訴趣意はこれでは本件窃盜の罪となるべき事実の摘示として不備だと攻撃している。
(判旨)
有罪判決の理由中に摘示すべき罪となるべき事実中窃盜罪の構成要件たる「他人の財物」を判示するには、それが犯人以外のいかなる者の所有に属するいかなる物件であるかについて法令の適用の基礎を明らかにするに必要な程度に具体的に示せば足るものであつて、一回の窃盜の犯行による被害物件が数名の所有にかかる多数の物件である場合に、その所有者の氏名及び物件の種別を遂一具体的に表示する必要がないのはもとより、いかなる物件が何人の所有に属するかを区別して表示する必要もないものと言わなければならない。